ムーヴオン!観た映画の感想・考察ネタバレあり解説

最近観た映画の感想・考察・解説を独自視点でやってます!おすすめ映画ランキングなどもたまに発表してます!忌憚ない意見が特徴!※完全ネタバレなので見てない人は注意

サスペンス

マーサ、あるいはマーシー・メイ

2011米

概要:カルト集団が暮らす山間から逃げ出し、姉夫婦のもとで暮らし始めたマーサであったが、2年間に及ぶカルト集団での生活やトラウマがフラッシュバックし、日常生活に支障をきたしてしまうようになる。やがて姉夫婦も手に負えなくなり病院へ入れることに。病院に向かう途中1台クルマがついてきてマーサがそれは教団から連れ戻しに来た車ではないか?と考えているところで終わり。

感想:マーサが姉夫婦との生活に戻っても上手く馴染めず、自ら逃げ出したカルト集団では自分の居場所があったような錯覚に悩まされている様子が見所。カルト集団での生活の描写に非常にリアリティがあり興味深い。小さな集団が自給自足で生活しているのですが、カリスマ的な男性がいて、それをあがめる人が周りにいると人は自然にそれになびいてしまう。それは現実生活でも同じかも知れないですね。個々の考えはそれぞれあっても、集団になると権力を得るための行動に走り、結果みんな迷走するという心理は非常に興味深いです。

サスペリアPARTⅡ(PROFOUNDO ROSSO)(紅い深淵)

1975伊

ある夜殺人が行われていた。子供の声がレコードから聞こえ、血のついた包丁が落ち、子供がそれを目撃する。

女性超能力者ヘルガは自身の講演会で強烈な気配を感じ取り、この会場に人殺しがいる、これからも殺人を行うだろうと叫ぶ。
アメリカからきたJAZZピアニストのマークは道で酔いつぶれる友人でピアニストのカルロを見つけ声をかけていた。しばらくたわいもない話を続けるが、突然女性の叫び声が聞こえた。マークは急いで声のしたアパートに向かうと、超能力者のヘルガが惨殺されていた。外を見るとコートを着た人物が駆け足で去っていく。ヘルガと面識はなかったマークだが、第一発見者として警察からしつこい取調べを受け、そこへずうずうしい女性新聞記者のジャンナも現われる。マークは殺されたヘルガの部屋に入ったとき、廊下にいくつも飾ってあった不気味な人の顔の絵画が、部屋から出るときは一枚無くなっていたという考えが頭から離れず、まだ外でぶらぶらしている友人カルロに相談する。カルロは人間にはよくある勘違いだ、深入りするなとマークに忠告する。しかしマークは事件の真相がどうしても気になり、女性記者ジャンナと協力して独自捜査を開始する。
マークは事件の手がかりを探るべくカルロの家を訪ねるが、元女優のカルロの母親が出迎え、カルロは友人の所にいるといった。教えてもらったアパートを訪ねるとの女性の格好をした男性が出迎え、部屋にいたカルロは自分は同性愛者であると告白する。
ある時自分の部屋で作曲中のマークであったが、突如子供の声の音楽が聴こえ、必ず殺してやるという犯人の声をドアの外から聞こえた。
次の日、犯人がかけた子供の声のレコードを買い、ヘルガの友人の心理学者のジョルダーニの所に相談に行くと、ジョルダーニの友人の心理学者が、何年か前に子供の声が聞こえてくる館を題材にした本を読んだという脈絡の無い話になった。マークはそれが気になったので、図書館で本を見つけて館の写真のページを破り、著者の女性に会いに行く。しかし著者の女性ははマークがつく前に風呂場で熱湯で殺される。マークはなぜ犯人は自分の行動を事前に察知しているのか疑問を持ちながら、ジョルダーニに電話で著者が既に殺されたと告げた。話を聞いたジョルダーニは著者の自宅に行き、湯気に浮かび上がる壁のダイイングメッセージを発見。
マークは館の写真に写っていた植物をたよりに館の場所を探し当て、館の管理人に頼み中を捜索する了承を得る。側にいた管理人の娘はトカゲに針をさして遊ぶすこし不気味な女の子であった。
マークは館の中で、子供が大人を殺す謎の絵画を発見。しかしそれ以上の発見は出来ず家に帰る。
ジョルダーニが書斎で著者殺害のダイイングメッセージについて考察していると突如不気味な声が聞こえた。恐怖で紅茶を口から吹き出すジョルダーニ。突如子供のからくり人形が飛び出してきて、ジョルダーニはそれをナイフで壊した。恐怖で笑ってしまうジョルダーニ。犯人により首に不意打ちをくらい、家具の角に歯を何度も叩きつけられ殺される。
マークは新聞記者のジャンナに電話をかけると、ジョルダーニが殺されたということであった。
写真と実際の館が少し違う気がしたマークは、館の住所を部屋に残し、再び館に行き館の隠し部屋とその中にある男性の死体を発見する。しかしその直後背後から何者かによって殴られ館は火をつけられる。マークは駆けつけたジャンナに救出され外で介抱された。
二人は館の管理人の家に行くと、管理人の娘の部屋に屋敷で見たものと同じような子供が大人を殺す絵があった。
マークは管理人の娘に詰め寄り、その子はレオナルド・ダ・ヴィンチ小学校の資料室でその絵を見たといった。
そして二人は夜の小学校に忍び込む。マークは資料室で過去の小学生達が書いた絵の束を片っ端からさがし、館の壁に書かれていたものと同じ絵を発見。書かれている名前を確認する。一方マークと離れてしまったジャンナは犯人に刺されてしまう。
マークのもとに犯人が忍び寄る、それは友人カルロだった。子供が大人を刺す絵を描いたのはカルロだったのだ。カルロは残念だといいながらマークを殺そうとする。しかし間一髪で警察が踏み込み、カルロは逃走する。
しかしカルロは逃走途中でトラックに脚を引っ掛け、そのまま引きづられながら他の車に頭を潰され死亡。

ジャンナはなんとか一命を取りとめ、事件は解決したかに見えたが、マークはまだ引っかかっていた。通りを歩きながらヘルガが殺された瞬間はカルロは自分と外にいたのだから殺人は無理だということを思い出し、事件の真相が見え始め、ヘルガの部屋に入りトリックの説明をする。ヘルガの部屋の廊下に飾られていた絵が一つ無くなったのではなく、来るときに鏡で犯人をみており、部屋から出るときはそれが見えなかったのだと気づく。鏡を見るとそこにはカルロの母親が映っていた。ナタで切りかかるカルロの母親。マークは傷を負うが、アパートのエレベーターにカルロの母親のネックレスを引っ掛けボタンを押した。カルロの母親はネックレスで首を切断し血が床に流れ落ちる。血の海にマークの顔が映ってエンドロール。


感想:全体的に構図が素晴らしく絵画のようなサスペンス。ストーリーが完全に辻褄が合ってるわけではないが、勢いで押し切っています。からくり人形が意味も無く飛び出してきますが、それ自体がワクワクです。
イタリアのプログレッシブロックバンド、ゴブリンの音楽もとてもよかったです。サスペンスなのにドラム叩きまくりの音楽で、映像に非常にマッチしています。
こんな攻めまくりな感じのサスペンスがこの時代にも生まれる事を期待したいです。
参考:サスペンス映画おすすめランキング最強ベスト52!どんでん返し最高! 

トールマン 

2012 米加仏 パスカル・ロジェ監督

※ネタバレ 
6年前に鉱山が閉鎖され、すっかりさびれてしまったコールドロックという田舎町が舞台。 
この町では子供が失踪するという事件が相次いでおり、トールマンの仕業だとみんなが噂し事件解決を待ち望んでいた。
夫を失いその町の診療所に勤めるジュリア。
ある夜目を覚ますと、同居していた女友達はロープで縛られ、
フードを被った人物が息子のデイヴィッドをちょうど連れ去ってしまうところであった。
トラックに乗り込む犯人を必死に追いかけるジュリア。トラックは止まるが犬が出てきてジュリアを襲う、何とか犬を退けるが犯人に気絶させられ、気がつくとトラックの中に、ジュリアは暴れ、トラックは横転してしまう。犯人はデいヴィットを抱え走って逃げる。ジュリアは追いかけるが力尽き、警官に発見されみんながいるダイナーへ運ばれる。

ジュリアはダイナーの奥の部屋でデイヴィットの写真や他の消えた子供たちの写真が飾られてあるのを発見し、勘付いて逃走する。ダイナーにいる人達が荒れ狂い、逃げたジュリアを手分けして探す。
ジュリアは保安官の車に乗り込んでおり、保安官が立ち寄った廃墟でおりた。するとそこにはデイヴィットがおり駆け寄るが頭一撃を食らう。 そして何故か犯人のほうをお母さんと呼びながら駆け寄るデイヴィット。実は失踪事件の犯人はジュリアの方だったのだ。母親からデイヴィットを奪い返し、知り合いの少女ジェニーの助けで何とか家に帰るジュリア。

同居人は私達の正体がばれたとパニクっている。あとには引けないとジュリアはデイヴィットを地下の部屋に連れていった。ジェニーはジュリアの正体に感づいており、私もトールマンに会わせてと懇願する。トールマンにあなたの住所を教えておいたと告げるジュリア。
次の日警察が踏み込みジュリアを逮捕、同居人は自殺しておりデイヴィットはいなかった。地下の部屋は巨大な鉱山のトンネルに繋がっており、大規模捜査でもデイヴィットは見つからなかった。
ジュリアの証言が頼りだったが、子供はいなくなったというだけで捜査は進まない。

ある日ジェニーはトールマンに誘拐された、その後で待っていたのは都会の裕福な家庭への引渡しであった。トールマンの正体はジュリアの夫で、ジュリアと協力し鉱山に住む未来のない子供たちを誘拐し、都会の裕福な家庭へ養子にさせていたのだった。


感想:見事に騙されました。町の人でなく誘拐の犯人はジュリア側。
撮りかたも上手く、斬新なサスペンスで見応え十分。
ジュリアに子供がいないという記述がありましたが、だからこそこういったことをを善として行えたのかなとも思います。本当の親の元で同じように社会的に底辺として育つのと、別の親の元でしっかり教育を受けるのはどちらが幸せなのでしょうか。

パージ

2013米

パージ(浄化)法という1年に1日だけ(19時~翌7時まで)殺人を含む全ての犯罪が合法化されるという行事がある2022年のアメリカ。その法案によって失業率や犯罪率が激減していた。富裕層に防犯用シャッターの設備を売りつけているセールスマンのジェームズ(イーサン・ホーク)はパージの夜は妻と子供二人と、高度な防犯を施している自宅で窓などの全てのシャッターを閉め静かに過ごす予定だった。しかし息子チャーリーが家の外で一人の黒人男性が複数の仮面をつけた集団から追われて逃げているのを発見。シャッターを開けてその黒人男性を招き入れてしまう。一方娘のゾーイとその恋人ヘンリーはジェームズに交際を認めてもらえないのが不満であった。その日ゾーイはヘンリーを窓から帰したと思ったがヘンリーは家の中に隠れていてパージの時間帯にジェームズに銃を放った。ジェームズに弾は当たらなかったが逆にジェームズに撃たれヘンリーは死んでしまう。
家の外のパージ信仰集団は逃げた黒人男性を引き渡さないとお前達を殺すとインターホン越しに脅す。一旦は黒人男性を捕まえて引き渡そうとするジェームズだったが、なにかが間違っていると気づきその集団と対抗する事を決意。シャッターを壊し家の中に入る仮面の集団。ジェームズはそのうちの何人かを仕留めるが致命傷を負い家族に見守られながら死亡。信仰集団がまだ残っており一家を襲うが、お隣さん夫婦が殺し一家を救うかに見えた。しかしお隣さんは防犯設備を売って裕福になったジェームズ家に嫉妬しておりジェームズ一家を殺そうとする。最後は黒人男性に助けられ、緊張の中でパージ終了。

パージいう発想自体は面白い映画。 

イースタンプロミス

2007年 英米加
タイトルが名作っぽいと思い借りたらやはり名作でした。
助産師のアンナ(ナオミワッツ)のところへ運びこまれた少女が出産し、そのまま死んでしまう。アンナは赤子のために少女のロシア語の日記を解読しようとロシアンレストランへ。そこでオーナーでボルシチ作るセミオンおじさんによくしてもらい日記のコピーを渡す。アンナは自分のロシア系の叔父さんにも日記を読んでもらうが、少女がセミオンの人身売買の犠牲になったと書かれており、絶対関わるなと言われる。そして家族ごとセミオンに狙われるアンナを、セミオンの息子キリル(ヴァンサンカッセル)の付き人ニコライ(ヴィゴモーテンセン)実は潜入捜査官)が守りつつ、セミオンの悪事を暴くというお話。赤子はアンナが引き取ります。

主人公ニコライの正体が最後のあたりまでわからず怪しげな雰囲気なのと、ボルシチを作ったりするセミオンおじさんの裏の顔が少女を売買し暴行し、証拠隠滅のために赤子も殺そうとしてる事実、息子キリルは悪ぶっているが赤子を殺せと命じられ、父セミオンについていけず困惑している描写が相まって、内容的にはドロドロだが、見終わったあと何故かすっきりする不思議な映画。

Drop(クライムヒート)

2014年米
トムハーディ主演のサスペンス映画ドロップです。邦題のクライムヒートはなんかしっくりこないですね。
ブルックリンのバーで働くぱっとしない主人公のボブ(トムハーディ)。
兄貴分のマーヴ(ジェームズガンドルフィーニ)の経営するバーは今ではチェチェンマフィアの傘下になり、ドロップバーといってマフィアが表に出せない金を夜の間預る仕事もしていた。そんな中ボブは捨て犬を拾う過程でナディア(ノオミラパス)と出会う。ボブお人よしで不器用、だが気弱ではないという絶妙さが何とも心地よい。
バーに強盗が入りマフィアの裏金を取られてしまい金の奪還を命じられるところからストーリが動き出すのだが、実はこれは元々この辺を仕切っていたマーヴがチェチェンマフィアに一泡吹かせようと計画した事である。
強盗犯は二人組みで一人はマーヴに口封じのために殺される。もう一人は切られた腕だけがフェンスに盗まれた金と一緒に吊り下げてあった。
その経過でナディアの元恋人のエリック(バーの常連を殺したと主張するやばい兄さん)拾った犬は自分がなぐってゴミ箱に置いただけだと主張。ボブに1万ドルを要求する。
スーパーボウルの日に動く裏金がボブたちのお店に預けられることになり、マーヴは店番をボブに任せその時に強盗しろとエリックに依頼する。スーパーボウルが終わり客も引いたところでエリックがボブに金を出せと銃口を向ける。ボブは犬の1万ドルは払うが店の金は払えんといいながらお前がかっこつけて殺したといっている男は実は自分が殺したと告白し、エリックをためらい無く射殺。マーヴはマフィアに自演がばれて別の場所で殺される。ボブはナディアにマフィアと同類といわれて動揺するが最後は二人仲良く犬の世話をして終わり。

自分は他の奴と違うと信じていながら平然と殺しをするボブが痛快。このあとボブがどういう生き方をするかは読者にゆだねられるが真人間にはなれなそう。現実にもいろんな感情が共存してる不可解な人はいたりするんだろうな。ドロップバーって本当にあるのか?興味は尽きない。フェンスに腕と金をおいていったのは多分マーブだろうけど。それがボブだったという考察も面白いな。
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チャイルド44 森に消えた子供達

最近トムハーディが出てるとつい借りて見てしまう。
1950頃のソ連が舞台で孤児院出身の主人公のレオ(トムハーディ)が国の秘密警察として葛藤する最中、親友の子供が殺されてしまう。しかしスターリン政権下のソ連は楽園で殺人などあり得ないとして捜査も出来ず事故として片付けられた。さらに部下の策略で左遷させられその土地でまた似たような少年殺人事件が起こり真相を究明しようと奮闘する、、、というストーリー。

ドロップでもヒロイン役だったノオミラパスとトムハーディの心理描写がすばらしい。
トムハーディは感情をあえて表に出さないことが、結果的に視聴者を深く考えさせることに繋がっている。主人公自身の生い立ちと成長、妻の心持ちの変化、ソ連の体制、連続殺人の犯人の事情。いろんな側面が交錯するので入り込めないと辛いかも。結果的に悲惨な世の中に負けずに生きていくことが出来たという話。
 
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